
コピー&マーケティング株式会社 代表取締役
山田 秀平(やまだ しゅうへい)
24歳で起業後、世界トップクラスのマーケッターやコピーライターからビジネスを学び、年商3000万円に満たない企業をすぐに約17倍の年商5億まで成長させる。コンテンツマーケティングでは、累計で12万人以上を集客してきた。現在はコンテンツマーケティングのインハウス支援に取り組んでいる。
コンテンツマーケティングを取り入れる企業が多くなってきた現在、動画を活用したコンテンツマーケティングにも注目が集まっています。
今は簡単に動画作成できるソフトもありますが、内容にはこだわりたいですよね。
しかし、動画制作には安くても10万円ほどかかりますし、凝った内容にするほど、費用は50万円、100万円、1000万円と膨らんでいきます。
費用対効果を考えると、動画を取り入れられないという会社もあるでしょう。
そこで今回は、動画を活用したコンテンツマーケティングの活用法をメリット・デメリットと併せてご説明します。
動画を取り入れたことで成功した事例もご紹介するので、参考になる部分を見つけてみてください。
この記事を読み終えた頃には、コンテンツマーケティングに動画を活用すべきかどうか、コストをかけてでも動画を制作すべきか判断できることでしょう。
目次
動画を活用したコンテンツマーケティングが注目されている背景
まず、なぜコンテンツマーケティングに動画を活用することが注目されるようになったのでしょうか。
要因として、SNSやYoutube、インターネットTVといった様々な動画媒体が登場したことで、動画市場が急成長を遂げたことが挙げられます。
視聴行動分析サービスを提供するニールセンデジタルが発表したデータによると、日本全国のパソコンやスマホから、YouTubeを利用する人は月間で平均6276万人となっています。
参照:トップ3は「Yahoo! JAPAN」「Google」「YouTube」インターネットサービス利用者数ランキング
これは、日本の人口の2人に1人が利用している計算になりますね。
パソコン・スマホから利用するデジタルコンテンツの1位がGoogle、2位がYahoo! JAPAN、そして3位がYouTubeとなっています。
つまり、検索サイトを除くランキングではYouTubeが最も利用されているということ。
この結果から、現在の消費者がテレビを見る時間よりも、スマホサイトやネット動画を見る時間の方が多いということが分かりますね。
そして、コンテンツマーケティングを成功させるためには、企業が提供するコンテンツに価値を感じてもらう必要があります。
言うなれば、徹底した消費者目線でコンテンツを作成しなければならないということ。
動画の需要が高くなっている今の時代だからこそ、コンテンツマーケティングにも動画を採用することが注目されているのです。
さらに、動画市場は一時の流行りものではありません。
2019年から2024年にかけて、214%市場規模が拡大するとされています。
動画広告売上も、この数値に比例して拡大していきます。
故に、各企業がこぞって動画を活用したコンテンツマーケティングに注目しているのです。
動画を活用するメリットとは
動画を活用することが注目されるようになった背景はご理解いただけましたか?
ここからはコンテンツマーケティングに動画を活用するメリットをご紹介します。
幅広いユーザーを取り込める
年代問わず、幅広いユーザーを取り込めるのも動画を活用するメリットの一つです。
先述したように、動画市場の拡大により幅広い層のユーザーが動画に慣れ親しんでいます。
故に、テキストや画像では支持を得ることが難しかったユーザーに対しても、動画を活用することで巻き込むことが可能になるケースもあるのです。
例えば、婚活アプリ「イヴイヴ」を提供しているMarket Drive株式会社。
婚活アプリというと「出会い系」というイメージになるため、嫌悪感を示す方もいるでしょう。
そこで、イヴイヴでは「異性に聞きたいけど聞けないこと」や「モテるためのテクニック」といった恋愛に関する情報をYoutubeを通して発信。
その結果、チャンネル開設から1年で登録者数は8.4万人、累計再生回数は1億2000万回を超えるまでに成長したのです。
加えて、提供している婚活アプリのCPI(アプリをインストールするまでの単価指標)を業界平均の50%ほどで抑えることにも成功したとのこと。
今では、女性向け・男性向けといったジャンルごとにチャンネルを開設し、幅広いユーザーの取り込みに力を入れています。
(参照:https://gaiax-socialmedialab.jp/post-56897/)
もちろん、これはBtoCに限らずBtoBでも同じ。
動画を活用することで、自社の強みや特徴を細かく伝えることができ、これまで関わりがなかった企業からも興味を持ってもらえる可能性があります。
つまり、新たなビジネスチャンスに繋がることも大いにあるということです。
商品やサービスが記憶に残りやすい
動画を用いることで、自社の商品・サービスを視聴者の記憶に残しやすくなります。
文字だけでは視覚にしか訴えかけることができませんが、動画では視覚と聴覚に同時に訴えかけることができます。
一般的に人は約80%の情報を視覚から得ていると言われています。
人が情報を得る際には五感が働きますが、内訳として、視覚が80%、聴覚が10%、味覚・触覚・嗅覚が合わせて10%となっています。
テキストや画像だけでも80%の情報を伝えることはできますが、動画を合わせて活用することで90%の情報を伝えることが可能になります。
物事を暗記する時、黙読ではなく音読をした方が覚えやすいと言われていますよね。
これは目で見た情報(視覚)を声に出し、自分の耳で聞く(聴覚)ことで効率よく記憶に刷り込むことが可能になるため。
動画を活用することも同様、文字や画像だけで情報を伝えるよりも、動画を活用する方がより記憶に残る情報を提供することができるのです。
大切な部分を明確に伝えられる
動画ではより多くの情報を一気に伝えることが可能になります。
具体的には、
- 1分間の動画情報を文字情報に換算すると、約180万単語に相当する
- 1分間の動画は、Webページ3600ページに相当する情報量がある
といったことです。
商品説明であったり、使用方法を紹介する場合、文字や画像だけで説明されてもなかなか理解できないものもあるでしょう。
しかし、動画を活用することで、上記のように圧倒的な情報量を短時間で伝えることができるのです。
企業側が消費者に「何を伝えたいのか」という部分も明確になるため、消費者も直感的に理解することができるようになります。
つまり、一つの動画を通して企業の価値を伝えることが可能なのです。
SNSでの拡散を狙える
SNSを使った情報収集が今や当たり前とされています。
そして、多くのSNSでは投稿をシェアすることができる機能があります。
この機能を活用することで、企業や商品の認知度を高めることが可能です。
主要なSNSの全世界利用者数はFacebookが約20億人、Twitterが約3.5億人、Instagramが約8億人とされています。
これだけのユーザーに対して自社の商品やサービスをアピールできるチャンスは、動画を活用する大きなメリットと言えます。
Facebookの主な利用者は20代〜60代、Twitterは10代〜20代、Instagramも10代〜20代となっています。
それぞれのSNSで主要となっている年代はバラバラですから、自社の商品、サービスに最もマッチするSNSを上手く使うことで一気に認知度を高めることができるでしょう。
動画を活用するデメリットとは
ここまでのご紹介では、一見動画を活用することにはメリットしかないように感じられるかもしれません。
では、デメリットとしてはどういったことが挙げられるのでしょうか。
さっそく見ていきましょう。
動画を制作する手間がかかる
動画を制作するには、当然ながらコストも時間もかかりますし、制作作業といった手間が掛かってきます。
記事冒頭でもお伝えしたように、動画制作には安くても10万円、簡単な動画であっても、撮影から編集まで早くて1週間は掛かると見ておくべきです。
自社で制作せずに、映像制作会社に依頼するといった方法もありますが、いずれにせよ企画構成や、打ち合わせを行う必要があります。
人手が足りていない企業であれば、手間を惜しんでまで動画を制作する必要があるのか、費用対効果を見極めるようにしましょう。
高いクオリティに仕上げる必要がある
ユーザーの支持を集める魅力的な動画にする為には、映像や音といった些細な部分まで気を配る必要があります。
テキストや画像とは違い、動画には様々な演出がある為、クオリティの差が如実に表れてしまいます。
今は様々な企業が動画を活用している為、他社に勝る、画質や音質といった基本的な部分はもちろん、具体的な戦略をしっかり立てる必要があります。
総じて手間やコストが掛かってくるのが、動画を用いることのデメリットと言えるでしょう。
動画を使ったコンテンツマーケティングの活用法3選
コンテンツマーケティングに動画を用いることで、様々なメリットがありますが、同時に動画を作成する手間がかかるというデメリットがありました。
手間をかけて動画を作成したとしても、正しく活用できていなければ、元も子もありません。
ここからは、動画を使ったコンテンツマーケティングをどのように活かすべきなのか、3つの具体例をご紹介します。
1.会社の価値を高められるコンテンツとして
動画を活用することは、会社の価値を高められることに繋がります。
コンテンツマーケティングを成功させるためには、自社の商品・サービスをユーザーに認知してもらい、信頼してもらう必要があります。
その為には、より分かりやすく、より印象に残るコンテンツを提供しなければなりません。
人の感情を刺激するコンテンツを制作するには、「モノマネ細胞」と呼ばれる細胞がポイントになります。
これは、他人の行動をあたかも自分の行動のように認識し、その行動に伴う感情を自分の脳内でシミュレーションすることができるというもの。
笑顔の人を見ると、自然と笑顔になるのもこの細胞の働きによるものなのです。
この性質を利用することで、動画とユーザーとの間に感情的な繋がりをもたらすことができます。
つまり、テキストや画像にはない信頼感や説得力をもたらすことができるということ。
信頼性が高い情報を提供することで、企業価値も向上していきます。
ユーザーの印象に残るコンテンツを提供することで、ファンとして根付いてもらい、且つ会社の価値を高めることができるといった相乗効果が期待できるでしょう。
2.商品・サービスの認知拡大を図るツールとして
自社商品や自社サービスの認知拡大が図れるのも、コンテンツマーケティングの役割の一つです。
動画はテキストの1000倍、画像の500倍ともいわれる情報を伝えることができます。
実際に商品を使用した動画であったり、サービスを体験した動画を活用することで、より多くの情報をユーザーに提供することが可能となります。
コンテンツマーケティングが成功する=自社の商品やサービスの価値をより多くのユーザーに理解してもらえるということ。
その道具として動画を活用する意味は大いにあると言えます。
3.広報活動のコンテンツとして
広報活動では、自社商品やサービスの「何を伝えたいのか」を簡潔に且つ魅力的に伝える必要があります。
その為、自社商品・サービスを使用しているユーザーのインタビューであったり、実際の使用方法を動画を通して提供し、視聴者の感情に直接訴えかける方法が最適なのです。
企業とユーザーを結ぶ役割を担っている広報活動。
他社に負けない魅力的なコンテンツ、記憶に残るコンテンツを制作することで、より多くのお客様や企業からの支持を得ることができます。
新たなビジネスチャンスに巡り会うきっかけにもなるでしょう。
動画を活用したコンテンツマーケティングの成功事例
ここからはコンテンツマーケティングに動画を活用し、成功した事例を3つご紹介します。
どれも参考になるものばかりですので、ヒントになる要素が見つかるでしょう。
1.株式会社タマホーム
株式会社タマホームが作成した「ふたりめ会議」という動画コンテンツです。
株式会社タマホームは不動産事業を主に展開している企業ですが、「家=家族」と関連づけた強いメッセージ性がある動画となっています。
家族がもう一人増えるなら、住宅を見直すということで作られたのでしょう。
子供が訴えるメッセージというのは、人の心に強く刺さるもの。
その効果は絶大で、動画が公開されると共にSNSでも話題となり、広告効果は1億円以上とされています。
2.株式会社エキップ
株式会社エキップは、化粧品ブランド「RMK」や「SUQQU」を展開している会社です。
化粧品という特性上、利用者自ら使用しないとなかなか価値を伝えることは難しいもの。
そこで、自社の商品をプロのメイクアップアーティストが使用し、自社商品の特徴を活用例を元にPRしています。
また、プロだけがメイクをしているのではなく、セルフメイク動画を公開しているのもポイント。
実際に商品を使用する際のシーンに合わせた動画にすることで、「誰が使っても同じように使える」というメッセージを伝えることにも成功しています。
化粧品ブランドは一般的に自社商品がより際立つよう、過剰にメイクをしたモデルが広告塔となっていることが多いです。
その中でも、株式会社エキップは自社商品の魅力を過度な表現をせず伝えられていることで、自社の信頼獲得にも繋がっているのでしょう。
「RMK」はブランド立ち上げ10年で業界内でも驚異的な売上伸長を果たし、”奇跡のブランド”とされています。
いち早く動画を活用したコンテンツマーケティングを実施したことも、成功の秘訣と言えるでしょう。
3.株式会社明治
株式会社明治でも、公式のYouTubeチャンネルを開設しています。
自社商品であるお菓子を中心に、テレビCMや商品の魅力を伝えている動画もあれば、思わす笑ってしまうようなエンタメ要素の強い動画も公開しています。
中でもお菓子の空箱を工作してロボットや動物を作る動画は注目を浴びています。
このコンテンツの意図としては、自社商品の認知拡大にあります。
「空箱=ごみ」という概念を破り、空箱を使った工作という情報を全く新しい情報を提供することで、ユーザーをファンとして囲うことに成功しています。
「商品を美味しく食べてもらいながら、パッケージのデザインや工作を楽しんでもらい、お客様の生活が豊かになる小さなお手伝いがしたい」
「商品パッケージの二次利用をすることで、エコにもつながるのでは」
という企業の想いが消費者にも伝わったのでしょう。
株式会社明治は売上・経常利益共に、年々右肩上がりに成長していますが、こうした自社の認知拡大を図るコンテンツを提供していることも要因の一つと言えます。
まとめ
コンテンツマーケティングに動画を用いるメリット・デメリットと共に、活用法も併せてご紹介しました。
消費者も時代の変化によって、今は動画に慣れ親しんでいます。
普段から動画やSNSを使って情報収集している消費者を取り込むためには、よりクオリティが高く価値あるコンテンツを提供しなければなりません。
その為には、テキストや画像だけではなく、動画を活用することも有効な手段だと言えます。
今は簡単に動画を編集できるソフトもあるので、まずは自社でどう活かせるのか試してみてはいかがでしょうか。
この記事が一つの判断材料になれば幸いです。