
コピー&マーケティング株式会社 代表取締役
山田 秀平(やまだ しゅうへい)
24歳で起業後、世界トップクラスのマーケッターやコピーライターからビジネスを学び、年商3000万円に満たない企業をすぐに約17倍の年商5億まで成長させる。コンテンツマーケティングでは、累計で12万人以上を集客してきた。現在はコンテンツマーケティングのインハウス支援に取り組んでいる。
SEO対策とは、検索エンジンでユーザーがキーワードを入れて検索したときに、自社が運営しているwebサイトを検索結果の上位に表示させるための施策です。
多種多様な情報端末がインターネットでつながり、誰もがwebサイトで情報を取得できる今、検索で上位に表示される仕組みを知っておくことは、一般教養になりつつあると言えるでしょう。
この記事では、SEO対策の基礎知識として、SEO対策とは何か、その歴史と実践について、要点を解説していきます。
目次
SEO対策の基礎知識
まずは、SEO対策とは何か、その定義を確認しましょう。
先ほども説明しましたが「SEO対策」とは、GoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索したときに自社webサイトを上位表示させるための施策です。
SEOとは、Search Engine Optimizationの略称で、直訳すると「検索エンジン最適化」という意味になります。
検索エンジンは、何かを調べるとき検索ボタンを押して使うGoogleやYahoo!などの仕組みのこと。
そして、最適化は、ある目的のための仕組みを一番効率よくなるように変えることです。
簡単に言いかえると、SEOとは「検索周りの仕組みをいい感じに変えること」という意味になります。
「検索周りの仕組みをいい感じに変えること」に対し、対策って?と言葉のつながりがよくわからないと思われるかもしれませんが、どうやって検索順位が決まるのかを知れば、何となくわかるでしょう。
webサイトが作られてから、検索できるようになるまでの流れは次のようになります。
まずは検索エンジンの求めるルールに従ったwebサイトやwebページを作ります。
そしてwebサイトやwebページができたことを、検索順位を決めるための情報を集める自動巡回ロボット「クローラー」に知らせます。
クローラーは、webサイト内のコンテンツの文章の中から関連する言葉、キーワードを拾い上げます。
これが検索キーワードです。
クローラーが収集した情報を登録(インデックス)します。
ユーザーが検索エンジンにキーワードを入れ、検索ボタンを押すと、作ったwebサイトがヒットするようになります。
webサイトがルールに沿っていればいるほど、そしてユーザーに利用されればされるほど、SEO評価が上がって検索上位になります。
ここで、ポイントなのが、webサイトが検索エンジンのルールに沿ったものでないと、自動巡回ロボットのクローラーはうまく働いてくれない、ということです。
つまり、検索エンジンの運営元だけがどうにか頑張れば、いい感じにユーザーが求める良質なコンテンツを検索しやすくできる、というものではなく、検索対象であるwebサイト側の協力があって初めて検索周りの仕組みをいい感じに変えることができるのです。
そのため、その協力度が高ければ、SEO評価が上がり、検索したときに上位に表示されます。
SEO対策をするというのは、検索エンジンの最適化に協力や貢献をする施策のことなのです。
これを押さえておくだけで、この後で説明する、SEO対策に求められる「ユーザーファースト」の本質の理解がしやすくなります。
SEO対策の歴史
今も昔も、検索エンジンの運営元は、ユーザーがすぐに良質なコンテンツを探せるように、いろいろな角度からwebサイトの評価を行っています。
過去、その評価の仕組みが今現在よりも多角的ではなかったため、SEO対策として悪質な手段が横行していました。
「自社サイトがいかに外部からリンクされるか」が重要で、質を問わず、webサイトなどから自社のwebサイトへのリンク、つまり被リンクを大量に作ることがSEO対策だとされた時代がありました。
例えるなら、通販サイトのレビューと同じです。
高評価の、参考にならない情報ばかりのレビューでも、数さえあれば上位になれるのです。
しかし、本来なら、たった1つのレビューしかついていなくても、参考になる商品の使用感が書かれ、別の商品にも同様の姿勢でレビューしている、信頼できる人がおすすめする商品の方を、ユーザーは検索結果として求めているはずです。
被リンクも同様で、量よりも質に方針転換され、今では「コンテンツと関連性の高いコンテンツからの被リンク」と「信頼できるサイトからの被リンク」が評価され、コンテンツと関連性の低い悪質な被リンクがあると、逆に検索順位を下げるペナルティを受けるようになっています。
また、高機能なクローラーの登場によって「自社webサイトをいかにクローラーが読みやすくするか」という内部施策がSEO対策として有効になったのも大きいでしょう。
段々と外部施策として被リンクへの対応の比重が下がり、今現在、内部施策の方が、費用対効果が高いとさえ言われています。
被リンクを増やすために挙がる外部施策は、広報の側面が強く、SEO対策という枠組みから少し外れているというのが現状でしょう。
SEO対策の実践法:内部施策と外部施策
前の項目のSEO対策の歴史でも少し説明しましたが、SEO対策は大きく2つに分かれます。
「内部施策」と「外部施策」です。
内部施策:「インデックス」についての施策
内部施策とは、自社webサイトに対して手を加えるSEO対策のことを指します。
内部施策と呼ばれるのは、自動巡回ロボットのクローラーが収集して行う情報登録「インデックス」への施策についてです。
評価基準を満たしていけば加点され、満たさなければ減点される、いわゆる「絶対評価」式の評価を行います。
内部施策として有効なのは、次の3点です。
- ユーザーに求められるwebサイトをつくる
- webサイトの全体図である「サイトマップ」を送信する
- ルールに則ったwebサイトの作り方をする
「ユーザーに求められるwebサイトをつくる」というのは、ユーザーに求められるオリジナルのコンテンツを作るという意味です。
自動生成や複製・コピーのwebページは評価されません。
また、ユーザーにとって、そのwebサイトが使いやすいかというのも、評価ポイントです。
例えば、現在webサイトのどこにいるかをひと目でわかるように「パンくずリスト」を実装します。
パンくずリストとは、次の図のように、ページの上に「>」を使って、表現するのが一般的で、一番右側が現在地にあたります。
「webサイトの全体図である“サイトマップ”を送信する」というのは、webサイトやwebページができたことをクローラーに知らせる意味があります。
クローラーが読み取りやすいXML形式のサイトマップを作成し、送信すると、極めてスピーディに情報登録、インデックスをしてくれます。
「ルールに則ったwebサイトの作り方をする」というのは、webサイトを検索エンジン運営元の出すガイドラインや、webの標準を決める団体の示すルールに沿って作ることで、クローラーがもっと仕事しやすくする意図があります。
一般的に、文字や画像などを表示するのに使われる、webサイトの記述言語HTML(エイチティーエムエル)を適切に使うだけでもSEO対策になります。
外部施策:「被リンク」についての施策
外部施策とは、自社webサイトと自社以外のwebサイトのつながりに対して行うSEO対策を指します。
具体的には、外部のwebサイトを経由して自社webサイトへ飛ばす「被リンク」についての施策です。
第三者である外部のwebサイトからリンクされるということは「このwebサイトはおすすめ!」と高評価レビューをつけられているのと同じ意味合いがあり、集団の中でどう評価されているかを見る「相対評価」を行います。
外部施策でやるべきことは、一言でまとめることができます。
・良質な被リンクを増やし、悪質な被リンクを外す
良質な被リンクとは「コンテンツと関連性の高いコンテンツからの被リンク」と「信頼できるサイトからの被リンク」で、リンク表示にHTMLタグの「アンカーテキスト」を使用しているものです。
例えば、アンカーテキストをこのように設定したとします。
<ahref=”https://www.hackthehack.jp”>アンカーテキストの例(本webサイト「HACKTHEHACK」のトップページに飛びます)</a>
記述例の通りにwebサイトを実装すると、次のようなリンクができます。
アンカーテキストの例(本webサイト「HACK THE HACK」のトップページに飛びます)
悪質なリンクとは、良質な被リンク以外の全てです。
webサイトの運営管理用のツールにGoogleSearchConsoleを活用できる方は、被リンク数の確認以外にも、悪質な被リンクについては否認することができます。
被リンクの対処をおこたると、自社webサイトのSEO評価が下がるだけでなく、検索エンジンの検査結果に表示されなくなる措置、ペナルティが実施されるケースもあるので、注意が必要です。
内部施策と外部施策についてもっと詳しく知りたい方は、次もあわせてご覧ください。
SEO評価をアップさせる内部施策と外部施策をご紹介します
SEO対策をする前に知っておきたいポイント5つ
SEO対策をする前に、知っておきたいポイントは5つあります。
SEO対策をするかしないか判断するときに知っておくだけで、効果のない無駄な施策を避けることができます。
(1)SEO対策は、検索エンジンごとに対応する必要がある
日本国内でメジャーな検索エンジンといえば、GoogleとYahoo!です。
この2つは同じエンジンを元に動いていますが、世界には多数の検索エンジンがあります。
「ユーザーに最適の検索結果を返す」という検索エンジンの使命が共通している以上、その種類が変わっても評価の考え方自体は同じようなものですが、評価方法や評価軸など細かなところが異なります。
そのため、検索エンジンごとに対応すべき細かな部分が異なってきます。
グローバル展開のために海外ユーザー向けにwebサイトを検討するなら、当然、そのユーザーの帰属する国の検索エンジンのシェアなど市場動向を確認し、その検索エンジンの対応を行う必要があり、対応数を増やすだけ費用がかかることは押さえておきましょう。
(2)現状はトップシェアの「Google」対策=SEO対策である
前の項目で、検索エンジンごとに細かな対応が変わるとは説明しましたが、現状で検索エンジンのトップシェアはGoogleです。
そのため、費用対効果を考えれば、自然とGoogle対策をすることがSEO対策、というのが事実上の標準、デファクトスタンダードとなっています。
現状、SEO対策は「Google対策は当然として、他は何を対応しましょうか」という前提で進むはずです。
(3)モバイル端末からの検索数がパソコンからの検索数を上回っている
モバイル端末の普及と検索の手軽さを考えれば当然の帰結ではありますが、既にスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末からの検索数が、パソコンからの検索数を上回っています。
webサイトはパソコンよりもモバイルを第一に考えるモバイルファーストでの作りが浸透しつつあります。
モバイル端末向けの検索エンジンであっても、現状はGoogle優位で変わりません。
但し、モバイル端末の普及や市場動向、世界情勢などの状況によっては、検索エンジンのシェアが変動して一強が崩れる可能性が常にあります。
(4)ターゲットユーザーがGoogleユーザーとは限らない
webサイトによっては、メインの顧客とするターゲットユーザーがGoogleユーザーではない可能性があります。
例えば、海外ではGoogleのサービスを利用できなかったり、ブロックされていたりする国も存在します。
その国のユーザー向けのコンテンツに、SEO対策としてGoogle対策を行っても、期待した効果は出ないでしょう。
国内でも、シニア層のGoogleの利用率とYahoo!の利用率は変わらないという調査結果から、ユーザーの性別や年齢によっては、Google対応と同じくらいの優先度でYahoo!の対応をした方がよいケースもあります。
同じ検索エンジンを使用していても、Yahoo!の場合は検索表示に独自要素を追加して表示するなど、SEO対策として求められる対応が微妙に異なるのです。
ターゲットユーザーの属性によって、施策の優先度は柔軟に検討すべきだと言えるでしょう。
(5)SEO対策の究極は「構造化」(マークアップ)である
HTMLタグを正しく使うことで、一部のコンテンツの情報をクローラーに情報収集させていましたが、「構造化データ」という埋め込み用の情報を設定(マークアップ)することで、さらなる情報収集を促すことができます。
例えば「私はヨシダヨシヒコです。」と書かれていたら、人間が見れば「ああ、自己紹介だな」と推測できても、コンピューターにとってそれは単に文字の羅列でしかありません。
そこに、構造化データマークアップをすることで、その文字の意味を正しく伝えることができます。
webサイトの構造化が一般的になれば、人間にしか理解できなかった文章を、コンピューターが理解し、コンテンツの有用性を判断するのが主流のSEO対策となる可能性を秘めています。
機械翻訳の精度を上げる効果も期待できるでしょう。
マークアップをするだけで多言語対応が可能になれば、日本語という言語圏で閉じがちだったwebサイトは容易に世界へ羽ばたけるようになるでしょう。
最近のGoogleで推奨しているのは「JSON-LD」というマークアップ形式ですが、構造化データマークアップの例として見てわかりやすいので「microdata」形式での実装例を挙げます。
比較対象のただの文字を表示するHTMLでの表示例とともに見比べてみてください。
・ただの文字の羅列の表示例
<div>私はヨシダヨシヒコです。</div>
・文字の意味を伝えられるmicrodataの実装例
<div itemscope itemtype="http://schema.org/Person">私は<spanitemprop="familyName">ヨシダ</span><span itemprop="givenName">ヨシヒコ</span>です。</div>
なお、構造化データやマークアップについてもっと詳しく知りたい方は次もあわせてご覧ください。
まとめ
効果的なSEO対策とは、ユーザーの使い勝手を第一に考える「ユーザーファースト」を実践することにつきます。
モバイル端末の対策はできているか、適切に構造化されているかなど、ターゲットとなるユーザー像を設定し、そのユーザーに対してオリジナルコンテンツを作り、正しく情報を伝えるための対策を実施する必要があります。
費用対効果で優先度を決め、その時の情勢にあわせた最適な施策を選び、SEO対策を行っていきましょう。
他にも、具体的なSEO対策を知りたい方は、次もあわせてご覧ください。