
コピー&マーケティング株式会社 代表取締役
山田 秀平(やまだ しゅうへい)
24歳で起業後、世界トップクラスのマーケッターやコピーライターからビジネスを学び、年商3000万円に満たない企業をすぐに約17倍の年商5億まで成長させる。コンテンツマーケティングでは、累計で12万人以上を集客してきた。現在はコンテンツマーケティングのインハウス支援に取り組んでいる。
SEO対策の一つに、埋め込み用の情報「構造化データ」を設定(マークアップ)する方法があります。
コンピューターにとってほぼ理解できない記号の集合体でしかないwebサイトのコンテンツを、構造化データのマークアップで意味づけすることにより、より効率的に解析と評価をしてもらい、最終的にSEO評価につなげることができます。
この記事ではSEO対策になる構造化データのマークアップとは何か、その効果と実装方法にはどのようなものがあるのか、見ていきましょう。
目次
SEO対策としてのマークアップとは
webコンテンツは、いろいろな要素や仕組みが組み合わさって作られていますが、一般的に文字や画像などの情報を記述するための言語「HTML」が使われています。
今まではHTMLタグを正しく使うことで、コンピューターに一部のwebコンテンツの情報を理解させていましたが、コンテンツへの理解をもっと促すために、更にもう一歩踏み込んで、埋め込み用の情報「構造化データ」を設定することができます。
簡単にまとめると、構造化データのマークアップとは、本来はユーザーにわかりやすければよいはずのwebコンテンツを、コンピューターにも理解しやすいように作ること、またはその技術の一つを指します。
具体例を挙げましょう。
例えば、「私はヨシダヨシヒコです。」と書かれていたら、人が見れば「自己紹介だな」と推測できても、コンピューターにとってはただの文字の羅列でしかありません。
ですが、構造化データでマークアップすることで、その文字の意味を正しく伝えることができます。
まず、構造化データをマークアップする前のHTMLの記述例です。
わかりやすさを優先してwebの標準を決める団体「W3C」(WorldWideWebConsortium:ダブリュースリーシー)がおすすめするマークアップの「microdata」による例を見てみましょう。
「苗字」と「名前」の構造化データをマークアップしています。
なお、最近のGoogleで推奨しているのは「JSON-LD」というマークアップ形式です。
microdata形式を認めていない訳ではありませんが、将来的にGoogleのSEO効果を考えるならJSON-LD形式の方が望ましいでしょう。
JSON-LD形式ではHTMLにJSON-LDを使うことを宣言し、スクリプトとして記述します。
こういったSEO対策になるwebサイトの作り方(コーディング)は、一言で言えば「セマンティックweb」と呼ばれます。
webサイトが情報の意味(Semantics)をコンピューター自身に理解させ、人を介さずに情報のやりとりを行う技術や、そのポリシーのことを指します。
セマンティックwebにするための3ステップについて詳しく知りたい方は、次もあわせてご覧ください。
構造化データのマークアップによって期待できるSEO効果
構造化データのマークアップは、SEO対策として有効です。
期待できるSEO効果は「リッチスニペットが表示され、ユーザー流入数が増える」というものです。
検索結果に表示される、webページのタイトル以外の情報は「スニペット」(snippet)と呼ばれ、webページのユーザーを呼び込むのに効果的です。
きちんと該当する構造化データをマークアップすれば、画像や動画などを含む「リッチスニペット」を表示し、文章だけのwebページよりも検索結果で目立つことができます。
Googleの仕組みに依存しコントロールしづらい部分はありますが、検索1位を超えて上位に表示される「強調スニペット」に採用されれば、更にユーザーの流入は増えるでしょう。
なお、現状、webサイトが解析されやすくなることが、直接的にSEO評価として加算され、検索順位が上がることはないようです。
コンテンツが優れていることと、技術が優れていることがイコールではないという判断があります。
しかし、構造化データのマークアップを行ってwebサイトが解析されやすくしているということが、ユーザビリティの姿勢の一つとして評価されれば、直接的なSEO評価につながるという動きも否定できません。
構造化データをマークアップするには
構造化データを設定するにはどうすればいいか、具体的な実装方法を見ていきましょう。
一般的に採用されるのは、次の2つの方法です。
- Googleの「データハイライター」で実装する
- Googleの「構造化データマークアップ支援ツール」を活用し、実装する
「データハイライター」を採用するメリットは、HTMLタグやマークアップの知識がなくても構造化データを実装できる点です。
初心者向けのマークアップ方法と言えるでしょう。
デメリットとしてGoogleの検索エンジンなどの仕組みを前提とするもので、webサイトのデータに追記される訳ではないため、Google以外の検索条件ではマークアップされたことにならない点です。
「構造化データマークアップ支援ツール」というのは、支援ツールで出力したソースコードを、最終的にHTMLに直接、マークアップする方法です。
こちらを採用するメリットは、自分が望む通りにマークアップできる、自由にできる裁量がある点です。
中級者から上級者向けのマークアップ方法と言えるでしょう。
デメリットとしてはもちろん、一定のコーディングの知識が求められる点です。
また、Googleが現在、推奨している「JSON-LD」形式でマークアップする場合、求められる知識はHTMLにとどまらず、スクリプトに関する知識も必要となります。
どちらで実装するにせよ、Googleの構造化データのガイドラインは押さえておきましょう。
構造化データに適用される一般的なガイドライン
なお、どちらのツールを使うにしても、サポートされるコンテンツタイプは、記事やイベント、地域のお店やサービス、レストランや商品、ソフトウェアアプリケーション、映画やテレビ番組のエピソード、書籍です。
ざっくり言えば、これらの情報を持つwebページに対しては、手軽にマウス操作だけで実装できる、ということです。
それでは、それぞれの手順を見ていきましょう。
(1)データハイライターによる構造化データのマークアップ手順
①GoogleSearchConsoleと連動するGoogleアカウントでログインする。
②「データハイライター」ツールを開く。
③「ハイライト表示を開始する」を選択する。
④構造化データを設定したいURLを入力し、データタイプを選択し、「このページをタグ付けする」を選んで「OK」ボタンをクリックする。(会社のwebサイトに対しての設定の場合は「地域のお店やサービス」を選択します。「このページだけをタグ付けする」にすると、マークアップはそのページだけに限定できます。)
⑤画面が表示されたら、構造化データをマークアップしたい箇所を選択し、右クリックする。
タグのメニューが表示されたら、該当するタグを選択する。
⑥全ての構造化データが実装できるまで⑤の手順を繰り返す。
⑦設定が完了したら、右のフレーム内のマークアップ情報を確認し、内容や設定に間違いがないかを確認する。
⑧確認できたら「公開」ボタンをクリックする。
構造化マークアップしたwebページを確認する手順
①「構造化マークアップテストツール」にログインする。
構造化マークアップテストツール
②「URLを取得」画面で、構造化データを実装したURLを入力する。
③「テストを実行」ボタンをクリックする。
あくまでも「構造化マークアップテストツール」はテスト環境の機能であり、必ずしも本番環境の検索結果とイコールにはならないので、注意しましょう。
(2)構造化データマークアップ支援ツールによるマークアップ手順
①GoogleSearchConsoleと連動するGoogleアカウントでログインする。
②構造化データマークアップ支援ツールを開く。
③「ウェブサイト」タブを選択する。
④マークアップするページのタイプを指定し、URLタブでマークアップしたいwebページのURLを入力、またはHTMLタブでHTMLファイルをアップロードしたら「タグ付けを開始」ボタンをクリックする。(会社のwebサイトに対しての設定の場合は「地域のお店やサービス」を選択します。)
⑤画面が表示されたら、造化データをマークアップしたい箇所を選択し、右クリックする。
タグのメニューが表示されたら、該当するタグを選択する。
⑥全ての構造化データが実装できるまで⑤の手順を繰り返す。
⑦設定が完了したら、右のフレーム内のマークアップ情報を確認し、内容や設定に間違いがないかを確認する。
⑧確認できたら「HTMLを作成」ボタンをクリックする。
⑨マークアップ形式を選択する。
⑩microdata形式の場合、HTMLのソースコードを確認し、「ダウンロード」をクリックする。既存のページのファイルと差し替えることでマークアップ作業が完了する。
デフォルトで選択されるJSON-LD形式を選んだ場合は、マークアップされたソースコードが表示されますので、コピーして既存のページのファイルのbody部に貼り付けて上書き保存することでマークアップ作業が完了します。
なお、マークアップの確認は、前の項目で説明したものと同様に【構造化マークアップしたwebページを確認する手順】で行います。
まとめ
コンピューター自身にwebサイトの情報を理解させる「セマンティックweb」を推し進める構造化データのマークアップで、webの世界は更なる進化を遂げるはずです。
webページを閲覧するユーザーには見えない情報ではありますが、優遇される流れは出てきています。
検索結果で似たようなコンテンツが並んだとき、検索1位を超える強調スニペットとして取り上げられるのは構造化データがある方です。
Googleが提供するツールなどを賢く活用し、着実にSEO評価につながるマークアップを目指しましょう。